

企業が業績見通しを当初の予想よりも高く見直すことだよ。上方修正が発表されると株価が急騰することもあるんだ。

へー!じゃあ上方修正を予想できるとがっぽり儲かっちゃうわね!!

完全に予想的中することは難しいけど、候補を見つける方法はあるよ。
どうも、じじどんです。
株式投資をするなかで、「上方修正」や「下方修正」って聞いたことありますよね。
この上方修正が予想できれば、今後の株価が上がる銘柄を選定できるのは?と考えるかたも多いのではないでしょうか?
実際、企業から上方修正が発表されると翌日にストップ高になるなど、その後株価が急騰するケースが多いです。
ではこの「上方修正」を先回りして予想することは可能なのでしょうか?
実は、完璧に予想的中することは難しいですが、ある程度の確率で予想することは可能です。
実際にそのような手法で成果をあげている投資家は多いですし、わたしもこれまでに何度か上方修正を先回りして予測し的中させ、利益を出してきた実績があります。
もちろん予想をしても当たらないこともありますが、そういった銘柄を研究しておくことに越したことはありません。
そこでこの記事では、上方修正が発表される銘柄を先回りして予想する方法をご紹介したいと思います。
Contents
上方修正とは
まず、あらためて上方修正とはなにか?
簡単にいうと、企業が年度途中で業績見通しを当初の予想よりも高く見直すことです。
企業は本決算発表の際に、来期の業績予想を公表します。
この業績予想に対して、実際の数値に一定以上の乖離があるときに、上方修正や下方修正を発表することが証券取引所によって義務づけられているのです。
この上方修正が発表されると、翌日にはストップ高になるケースも多く、その後の株価は急騰しやすいです。
上方修正有望株の見つけ方
それでは本記事のメイントピックです。
どうやって上方修正を予想するか?
この記事では、株探というサイトを活用する方法をご紹介したいと思います。
この株探というサイトは投資家のなかではよく利用されている有名なサイトで、銘柄分析するにあたって役に立つさまざまな情報が収集できるサイトです。
ではここから実際の手順を説明しますね。
株探で候補銘柄をピックアップ(1次スクリーニング)
まず、株探にアクセスすると以下のようなサイトが表示されます。
このなかに「銘柄探検」というメニューがあるのでクリックしましょう。

そうすると、ずばり以下のように「業績上方修正が有望銘柄」という項目があります。

ここで、4つの項目が出てきますが、どれも使っても同じように分析ができます。
- 【第1四半期】時点 中間期上振れ 有望銘柄
- 【第1四半期】時点 通期期上振れ 有望銘柄
- 【中間期】時点 通期上振れ 有望銘柄
- 【第3四半期】時点 通期上振れ 有望銘柄
今回は、「【中間期】時点 通期上振れ 有望銘柄」を見てみましょう。
クリックすると、以下のような表で有望銘柄候補を一覧で確認することができます。

サイト中にも説明がありますが、この表では直近に発表された中間期(第2四半期累計)決算にて、経常利益が会社側の通期計画に対してどこまで進んだかを示す「対通期進捗率」が高い順に銘柄が表示されています。
対通期進捗率が高いほど、通期計画が上方修正される可能性が高くなります。
通期に対する中間期時点での進捗なので、50%だと普通といえますね。
ちなみに進捗率とは、企業が自身で予想している利益の何パーセントを達したかを示す数値です。
また、飲料メーカーなどの季節銘柄の上方修正の可能性を探れるように、進捗率について過去5年平均が併記されています。
進捗率が高く、かつその進捗率が5年平均より高ければ、上方修正の可能性がさらに高いという見方ができるわけですね。
「あれ?もうこれで候補が洗い出せたんじゃないの?」と思うかもしれませんが、ここからさらに予測の精度をあげていく作業に入ります。
ちなみにこの記事では「【中間期】時点 通期上振れ 有望銘柄」を例にご説明しますが、ひととおり以下の4つについて簡単に整理しておきます。
1 | 【第1四半期】時点 中間期上振れ 有望銘柄 | 会社側の中期計画に対する、直近の第1四半期決算での経常利益の進捗度が高い銘柄。(進捗率50%で普通とみる) |
2 | 【第1四半期】時点 通期期上振れ 有望銘柄 | 会社側の通期計画に対する、直近の第1四半期決算での経常利益の進捗度が高い銘柄。(進捗率25%で普通とみる) |
3 | 【中間期】時点 通期上振れ 有望銘柄 | 会社側の通期計画に対する、直近の中間期決算での経常利益の進捗度が高い銘柄。(進捗率50%で普通とみる) |
4 | 【第3四半期】時点 通期上振れ 有望銘柄 | 会社側の通期計画に対する、直近の第3四半期決算での経常利益の進捗度が高い銘柄。(進捗率75%で普通とみる) |
3つの指標で候補を絞る(2次スクリーニング)
株探で一次スクリーニングをかけた銘柄のうち、さらに以下の3つの条件を満たしている銘柄に絞り込みます。
まず最初に、進捗率が67%以上(【中間期】時点 通期上振れ 有望銘柄の場合)の銘柄に絞ります。
これは第3四半期で早くも会社予想の利益を超える計算となります。
つぎに、5年平均進捗率と実際の進捗率が10%以上乖離している銘柄に絞ります。
これは季節銘柄を除外するための確認になります。季節銘柄の場合は毎年同じような数値になっているはずですね。
さいごに、PER(株価収益率)が20倍以下(銘柄数が多いときは、もう少し厳しく設定)の銘柄に絞ります。
これは本当に業績予想に対して実際の数値にギャップがあるかどうかの基準になります。
上方修正前にPER20倍以上の銘柄は、相当大きな上方修正でない限り、上方修正しても割安にならないため除外します。
3条件をまとめると次のようになります。
- 進捗率が67%以上
- 5年平均進捗率と実際の進捗率が10%以上乖離している
- PER(株価収益率)が20倍以下
この3条件に当てはまる銘柄に絞る際に、わたしはEXCEL上で作業するようにしています。
作業が楽ですし、あとから振り返った時に自分の分析をログとして残せるからです。
ご参考までにわたしの作業手順についてご紹介しますね。
まず株探の有望銘柄の一覧の表示件数を増やすことができるので、デフォルト15件になっているところを50件にします。
そうすることで、以下の場合は31銘柄ですが、すべて1画面に表示することができます。

最大50件で表示できたら、EXCELにコピペします。
そして自分がデータを扱いやすいように少し整えて、うえの3条件に当てはまる銘柄に2次スクリーニングします。
画像が小さくて恐縮ですが、A列からJ列までは株探から取ってきたデータ。
これに対して、
- K列で、進捗率が67%以上か、
- L列で、対通期進捗率が5年平均進捗率よりも10以上大きいか、
- M列で、PERが20倍以下か、
をチェックしています。
簡単な関数でチェックできるので、ここでEXCELのちからが発揮できるわけですね。
株探のサイト上で、ひとつずつ目検しなくても済みます。

ここまでできれば、あとは①~③の条件ですべて〇になっているものだけにフィルタをかけます。
そうすると、今回は以下の14銘柄に絞られました。

自分のルールでさらに候補を絞る(3次スクリーニング)
さらにここから、普段銘柄選定する際の自分なりのルールを適用しても構いません。
- 東証1部の銘柄に絞る
- XX業界の銘柄は除外する
など。
わたしの場合は基本的に東証1部の銘柄しかもたないようにしているため、C列の市場で「東1」のものだけにフィルタする感じですね。
ここまで候補を絞ることができたら、あとはひとつずつ研究していく流れになります。
今回わたしは対通期進捗率がすでに95%ほどで、かつ5年平均進捗率の2倍以上もある
3328:BEENOS
に注目したいと思います。
株価が1,000円程度なのも良いですね。いざ買おうと思ったときに、あまり高すぎる株価だと手が出ないので・・・

決算資料や四季報をつかって最終確認
まず企業のHP等から最新の決算短信をダウンロードして見てみます。
中間EPS(1株あたり純利益)は138.27円となっていますね。

いっぽう、会社の通期予想EPSとしては、112.00~152.00円となっています。

けっこう幅を持たせた予想となっていますね。
ではこれらの数値をもとに進捗度を計算してみると、
通期予想が112円だとすると、112÷138.27×100=81.0%
通期予想が152円だとすると、152÷138.27×100=109.9%
となり、平均すると、95.5%になります。
株探の94.9%とあまり大きな差はないことが確認できました。
つぎに現在の株価は割安といえるかどうかを確認してみます。
まず単純に中間EPS:138.27円を2倍して、通期の期待利益を計算します。
138.27×2=276.54円
ちなみに株探の5年平均進捗率を見て、ここが50%を大きく超えている銘柄は季節銘柄となるため、単純にはこの計算ではダメです。
BEENOSの場合は5年平均進捗率が44.7%のため、季節銘柄ではないと判断できます。
つぎに、現在の株価(=1,016円)をうえで求めた期待EPSで割り、期待PER(株価収益率)を求めます。
期待PER:1016÷276.54=3.67倍
このPER3.67倍が割安かどうかを判断するために、過去のPERを比較をします。
まず四季報などを用いて、前年と2年前のEPSを確認します。
2019年:89.6円
2018年:75.6円
つぎにチャートを見て、それぞれの年のだいたいの株価をチェックします。
2019年:1,500円
2018年:1,800円
それぞれの年のPERを求めると次のようになります。
2019年:1500÷89.6×100=16.7倍
2018年:1800÷75.6×100=23.8倍
ざっくりとした計算ですが、過去に比べると期待PER3.67倍は割安と判断できそうですね。
以上の確認から、銘柄3328:BEENOSは上方修正の有望株と判断できそうです。
今後、上方修正が発表されるかどうかウォッチしたいと思います!
初めてこの方法を実践していきなり予想的中したはなし
今回ご紹介した上方修正有望株のチェック方法ですが、実はわたしがはじめて実践して銘柄を選定した直後に、実際に上方修正が発表されたというバリバリのビギナーズラックを手にしました。
2018年の夏頃ですが、うえの手順で株探で候補をしぼったあと、決算短信や四季報などで分析し、3244:サムティという銘柄を候補として選定しました。
実際にログとして残っているEXCELが以下になります。

私はこの銘柄をこの時点で買ったのですが、な、な、なんとその数日後に実際に上方修正が発表されたのです。
あまりにもびっくりしてニュース記事まで画面コピーで保存していました笑

この上方修正発表の翌日、株価はたしかストップ高になり、その翌日にわたしは売り抜けました。
ビギナーズラックって本当にあるんですね。
ただし、それ以降も何度か上方修正を的中させたこともありますので、この手法は確かにお勧めできる手法です。
まとめ
いかがでしたか?
今回の記事では、上方修正を先回りして予測し銘柄を選択する方法についてご紹介しました。
その手順をまとめるとつぎのような流れです。
- 株探の「業績上方修正が有望銘柄」で1次スクリーニング
- 3つの条件で2次スクリーニング(進捗率67%以上、実際の進捗率と5年平均進捗率のGAPが10%以上、PER20倍以下)
- 自分なりのルールで3次スクリーニング
- 決算資料や四季報で、銘柄をひとつずつ最終確認
この手法で実際に上方修正を的中させることができればとてもハッピーですが、もし予想が外れたとしても、この手法でスクリーニングした銘柄は間違いなく良い業績をあげている銘柄になるため、損はありません。
みなさまもぜひ参考にしてみてください。
上方修正ってなぁに?